2006年から本格的にDJ活動を開始し、今では東欧きってのDJに変貌したNASTIA。ウクライナ出身の彼女は、モスクワの「ARMA17」など著名なクラブのレジデントを歴任し、今日では世界中のメガフェスティバルにクレジットされている。昨年はTime WarpやMOVEMENTにも名を連ね、ULTRA JAPANにも出演した。彼女のDJを指して「ミニマル」という言葉が使われることがあるが、決してその範疇にはとどまらない。抽象度の高いブレイクビーツに突然4つ打ちのトラックを挿入するなど、トリッキーな一面も垣間見える。それも、物凄くナチュラルに――。「自分はプロデューサーでなくDJである」と自負する彼女にとって、あらゆるビートはフロアを踊らせるサウンドとして機能する。BPMが90だろうと130だろうと、トラックがオールドスクールだろうとニュースクールだろうと、まったく無関係だ。曲の良さを最大化するだけでなく、新たな魅力までも発見してみせる。昨年の「Neopop Electronic Music Festival」(ポルトガルで開催される万人規模のテクノパーティー)でのプレイからも、その妙技は確認できるだろう。東欧を、そして世界を席巻するDJは、さながら魔法のようにサウンドを紡いでゆく。あなたがたとえ偏屈な音好きだとしても、NASTIAが作り出すフロアでは自由だ。この日の夜は思い切り魔法にかけられて欲しい。
また、日本からはDrunken Kongが登場する。3月にTronicからEP『Two Rivers』をリリースしたばかりとあって、勢いはまさに破竹のごとくである。日本が世界に誇る才能にも要注目だ。