「Cocoon Recordings」や「Bpitch Control」、「Drumcode」などからリリースを重ね、DJ / プロデューサーとして高い評価を受けるSHLOMI ABER 。ダンスミュージック界における最高の名誉「DJ Award」にも度々ノミネートされている。彼が主宰する「Be As One Imprint」も、イスラエルの最重要レーベルだ。Aber自身もそこから作品をリリースするが、2018年はより象徴的な年であった。SHLOMI ABER 名義の3枚目のフルアルバム『Linear Equations』。「一次方程式」と名付けられた本作は、まさにシーンの基盤となるような1枚に仕上がっている。様々なレーベルからリリースを重ねてゆくうちに、彼のトラックはどんどん洗練されていったが、本作はその集大成と言ってよい。Ben Klockのように荘厳な世界観を持っていながら、Len Fakiのようにダークで力強い。それはもちろん、彼のDJにも反映されている。独特な間の取り方に美学を感じるし、ミニマルな構成で熱量を上げてゆく様は、ドイツの巨人たちにも引けを取らない。また、今年2月に「Bpitch Control」から出たEP『Lost in Humanity』も、2019年を代表する1枚になるだろう。
また、今回はダブルヘッドライナーとしてもう1人、Electric IndigoもVISIONに登場する。オーストリア出身の彼女は、90年代初頭にベルリンのテクノシーンに耽溺して以降、垣根を超えた活躍を続けている。Ars ElectronicaやMUTEKなど、デジタルアートの文脈でも評価が非常に高い。2012年には、オーストリアの芸術文化省よりコンピューター・ミュージック部門でアーティスト優秀賞(Outstanding Artist Award)が贈呈された。昨年はMUTEK Japanにも出演し、彼女の姿が記憶に新しいオーディエンスも多いだろう。その時披露されたオーディオヴィジュアル・ライブパフォーマンス、「511593」の完成度は圧巻であった。4チャンネルで繰り広げられるアンビエント・テクノの世界観は、猛者ぞろいの同イベントにおいても著しい存在感を放っていた。今回は、彼女のルーツであるテクノセットを展開する。25年以上もシーンに君臨し続ける、文字通り草分け的存在のDJを刮目せよ。
新たな1年が本格的に始まる4月、ALIVEで踊り尽くせ。